円高はいつまで続くのか?
円高がいつまで続くか真剣に考えてみた。
戦後最高値を更新したドル円、11年ぶりに100円割れしたユーロ円と、円高が世間の注目を集めています。円高不況を懸念して政府は様々な円高対策を行ってきましたが、果たしてこの円高はいつまで続くのでしょう?
円高に終止符が打たれるのは2012年?それとも2013年?そもそもの円高の原因から今後のトレンドについて私なりの考えをまとめてみました。
そもそも、いつから円高は始まったのか?
2004年から2007年にかけて続いた円キャリートレードが崩壊し、長期的な円高トレンドが続いています。そもそも、この円高の発端は2007年に起きたサブプライム問題と、それを原因としたリーマンショックでした。リーマンブラザーズという一流証券会社の破綻をきっかけとして世界的な金融不安を招き、リスク回避の流れで欧米のヘッジファンドなどが一斉に円買いに傾いたのです。
この現象は人類が今までに何度も経験してきたようなありふれた不況とは違います。なぜなら、それはアメリカ経済の崩壊とドルの基軸通貨としての終焉を意味しているからです。もちろん、5年や10年でGDPトップの座から落ちるとは考えにくいですが、中国やブラジル・インド・ロシアなどブリックス諸国の急速な発展により、世界経済に及ぼす影響はそれまでのアメリカ一極集中から、よりグローバルな姿へとシフトしていくのは明らかです。
少なくとも2014年までは円高は終わらない
さて、もう一度本題にもどり、「円高はいつまで続くのか?」について考えてみたいと思います。この場合重要なのは、「どの程度のスパンでトレンドを計るのか?」という事です。1年を短期と見るのか長期と見るのか、はたまた10年20年単位で評価するのかという違いによって、「円高はいつまで?」の答えも自ずと変わってくるからです。
そこで、まずは目先1〜2年の予測から入っていくことにしましょう。2011年10月に16年ぶりに高値を更新したドル円ですが、財務省・日銀の再三の為替介入もあり一旦は円高に歯止めがかかったように見えます。しかし、FRBのバーナンキ議長が「少なくとも2014年終盤まで異例の低金利が正当化される可能性がある」と発言している様に、ドル金利の上昇はいまだ望めず、以前の様なFXにおけるスワップ狙いの円キャリーブームが復活するとも思えません。
円高は一旦調整局面に入るもいつまで続くかは不透明
アメリカは2011年末より失業率の低下を見せ雇用市場の回復に期待が集まっていますが、それでも依然、高水準であることには変わりません。しかも、異例の低金利政策や原油など資源高の影響をうけ、インフレ懸念も出始めてきたこともあり、今後は経済の建て直しと物価抑制という非常に難しい舵取りを迫られることになりそうです。
2012年に入り円安方向への大きな調整が見られましたが、こうした背景を考えるとこの調整もいつまで続くかは疑問です。それでも、市場のセンチメントに若干の変化が現れているのも事実で、再び最高値を更新していくほどの円高が進むという可能性も少なく、FOMCにおいて具体的な利上げ時期についての発表が出るまでは1〜2年程度のレンジ相場になる様な予感がしています。
ユーロだっていつまで続くか分からない
それでは、その後、5年10年という長期スパンで見た場合の相場を考えてみたいと思います。これは非常に難しい問題ですが、冒頭にお話したような「ドルの基軸通貨としての”ゆるやかな”終焉」に加えて、ギリシャ危機をきっかけとした統一通貨ユーロの信認失墜にも触れなければなりません。
ユーロは欧州経済の発展を目的に1999年に導入された23ヶ国による統合通貨ですが、2001年以降の世界的な好景気を下支えに、2007年までユーロバブルと言えるほどのユーロ高が進行します。しかし、サブプライム問題と共にバブルがはじけ、暴落と言えるほどの円高ユーロ安が進みます。その後ギリシャ問題が浮上し、今やドルよりも悲観的な通貨として認知されるようになりました。
円高がいつまで続くかのカギは日本が握っている
そもそも、ユーロは発足当初から、財政環境の違う23の国に同じ金融政策を適応するという難題への挑戦に、不安視する声が多かったのも事実です。こうした流れもあり、今の為替相場はドル安・ユーロ安がテーマとなっているのです。
世界各国が低金利を維持し続ける現状において、日本のゼロ金利政策はあまり焦点とならず、潜在的な日本の成長力に期待する投資家から円が選好されているわけです。このような為替市場をとりまく問題の本質を考えれば、「円高がいつまで続くのか?」という問いかけに対する答えは自ずと出てくるのかもしれません。