ヘッジファンドとは?
ヘッジファンドと投資信託の違い
ヘッジファンドとは、様々な手法を用いて利益を追求する投機的なファンドのこと。公募により資金を集める投資信託とは異なり、機関投資家や富裕層等から私的に集めた資金を、デリバティブや空売りを含めた様々な手法で運用するファンドを意味する。
ヘッジファンドの投資スタイル
好況・不況に関わらず、常に投機的なスタイルで利益を追求するという特徴があり、相場の乱高下を加速させる要因になっているとして問題になることも多い。
リスクヘッジとしてのデリバティブを駆使するとされているが、絶対的な収益を目標とすることから、一般にハイリスク・ハイリターンな姿勢であると見られる。
ヘッジファンドとサブプライム問題
2007年に世界中を騒がせ、その後のリーマンショックの原因にもなったサブプライム問題ですが、この時の引き金になったのがヘッジファンドでした。
サブプライムローンとは、信用力の低い人達に高金利で貸し付ける住宅ローンのことですが、利益を追求するヘッジファンドの多くはこのサブプライム証券に手を出していました。
ヘッジファンドの規制
ところがアメリカの住宅バブルが崩壊し、2007年6月22日に米大手証券会社のベアスターンズ傘下のヘッジファンドが運用に失敗し多額の損失を出してしまいます。
このことがきっかけとなり、金融市場では資金を引き上げる動きが活発化し、世界的な金融不安へと繋がったのです。その後、事態を重く受け止めた金融当局は、2009年4月に開かれたG20においてヘッジファンドの規制を決定しました。
ヘッジファンドとビットコイン相場
2013年ごろから話題となった仮想通貨ビットコイン。実はこのビットコインの裏にもヘッジファンドが絡んでいると言われています。
2009年に始まったドルとの取引では、当初数ドルだった相場も一時は1100ドルを超えるところまで上昇し、まさにバブルの様相を呈します。
投機の対象にされるビットコイン
このビットコインバブルの中で、元FX会社のスタッフらによって結成されたExanteというヘッジファンドが4847%(元本を48倍にした)という驚異的なリターンを達成しました。
しかし、その反対に、ビットコイン取引所の破綻をきっかけに巨額の損失を被ったヘッジファンドも少なからずあったとされています。
歴史的なヘッジファンド"LTCM"の破綻
1998年に歴史的なヘッジファンドが破綻しました。ブラックショールズ方程式を完成させ、ノーベル経済学賞さえも受賞した著名な経済学者が作り上げたヘッジファンドで、ドリームチームとまで呼ばれたLTCMです。
LTCMには世界中の投資家や銀行・証券会社、はては国家までもが期待を寄せ、最終的には1300億ドル(約10兆円)もの資金を運用するようになります。
ハイリスクなレバレッジ取引
しかし、1997年・1998年に相次いで起こったアジア通貨危機とロシア財政危機の影響を受け、高いレバレッジをかけていたLTCMはついに破綻します。
その後、金融市場への影響を考慮した政府により救済策が取られ、ゆるやかに解体への道をたどります。この歴史的な破綻劇を機に、ヘッジファンドの運用にも一定のレバレッジ規制がかけられるようになりました。
円高・円安の裏にヘッジファンド
2002年に135円まで進んだ円安、2011年に記録した75円という歴史的な円高、そしてまた2014年の年末には再び120円という円安局面を迎えたドル円相場。
実はこの背景にもヘッジファンドの影響があると言います。ヘッジファンドはたびたびFX取引を用いて大量の円買いや円売りを仕掛け、相場を乱高下させていると言われています。
2011年には円高不況を懸念した政府・日銀により、複数回に渡って為替介入が行われましたが、この流れでもヘッジファンドは事前に売っておいた円を買い戻し、巨額の利益を積み上げたのです。