スタグフレーションとは
スタグフレーションの意味
スタグフレーション(stagflation)とは、
スタグネーション(stagnation:停滞)と
インフレーション(inflation:物価上昇)
を合成させた言葉で、景気後退局面にありながらもモノ不足によりインフレの状態となることを意味する。別名、スランプフレーションとも。
最悪の経済状態
過去の例で言えば、1970年代のオイルショックの際に原油価格が4倍に跳ね上がり、日本を含む多くの国がスタグフレーションに陥った。
一般的に不景気の中ではデフレ圧力がかかりやすいが、賃金の上昇が見込めないにも関わらず物価が上昇することから、最悪の経済状態と言われている。
スタグフレーションの原因
戦争・紛争・政治混乱
スタグフレーションの原因は、主に石油や食料など生活必需品の供給不足にあります。
そのため、その背景にはしばしば戦争や内乱・紛争などがあり、供給側の思惑で引き起こされる場合があります。
第一次・第二次オイルショックの際にも、ことの発端は中東戦争やイラン革命といった政治的な対立が原因でした。
エネルギーを輸入に依存するリスク
当時の先進国は石油のほとんどを中東に依存しており、輸出の停止や値上げを宣告されるとたちまち国内経済にダメージを追うことになったのです。
その結果、この様な極端な中東依存・石油依存から脱却するべく、輸入国の分散や油田開発、さらに原子力や太陽光など代替エネルギーの開発に力を注ぎました。
スタグフレーションとサブプライム問題
投機マネーが原油価格を押し上げ
2007年に起こったサブプライム問題がきっかけとなり、2008年には一時スタグフレーションが懸念される事態が起こっています。
世界的な金融不安のさなか、金余りとなっていた投機マネーが原油や穀物市場に流れ込んだのです。
中国などの成長にともない需要が増加
中国・ブラジル・インド・ロシアといったブリックス諸国の経済発展に伴い原油需要の増加が続いたこともあり、原油価格はサブプライムショック以前に比べて2倍以上に上がり、生産コストの増加や食料品の値上げなど物価上昇を招きました。
世界経済は依然不透明
事態を重く見た日銀の白川総裁は、2008年5月に「日本がスタグフレーションに陥る可能性がある」とコメントします。
その後、9月に起こったリーマンショックとそれに伴う世界経済の低迷の影響もあり、石油価格・食料価格は下落しスタグフレーションの発生は避けられましたが、依然世界各国でスタグフレーションの危険性が危惧されています。
スタグフレーションと円高
新興国の成長
この様に、現在は世界的な景気後退期にあるが、ブリックスをはじめとした新興国の成長余力は力強く、信用収縮が収まり投資活動が再開するとこれら新興国の高い成長が再び活発化すると予想される。
輸入価格は今後も上昇
いずれこの様な流れで世界が成長を始めた時、再び石油や食料などの需要が増加し世界的なインフレがやってくるだろう。
デフレ不況・円高不況の真っ只中にある日本において、それは輸入品の物価上昇を意味する。
円高は処方箋となるか?
つまり、不況+インフレで正にスタグフレーションの危機だ。しかし、輸出産業を中心に忌み嫌われている円高がその輸入物価の緩和に一役買うという見方もある。
将来予測される資源インフレや食料インフレにとって、円高のメリットが発揮される日が来るのかもしれない。