TPPとは
TPPの概要
TPPとは、日本・アメリカを含む環太平洋地域による経済連携協定(EPA)の略称。輸出・輸入の際にかかる関税を段階的に引き下げ、自由貿易を推進することを主な目的としています。
日本は、アベノミクスの政策の一環として2013年7月より正式参加し、世界のGDPの4割を占める巨大経済圏が誕生し貿易のルールのスタンダードとなることが期待されています。
TPPとトランプ政権
一方、米国は2010年よりこの拡大交渉に参加してきましたが、ドナルド・トランプ第45代米大統領がTPPへの参加に否定的な発言を繰り返していることもあり、TPPの早期実現は難航との見方が強くなっています。
これまでのグローバル化に背を向けるような保護主義政策を掲げたことで、今後の世界経済への不透明感が高まっています。
TPPのメリット・デメリット
様々な主張・意見・反論・異論があり、効果の試算についても学者間で開きがあるが、概ね以下のようなメリット・デメリットが生じると推測されている。
TPPのメリット
- 関税の撤廃により肉・野菜・果物・乳製品などの輸入食品が安くなる。
- 関税の引き下げにより貿易の自由化が進み日本製品の輸出額が増大する。
- 整備・貿易障壁の撤廃により、大手製造業企業にとっては企業内貿易が効率化し、利益が増える。
- 鎖国状態から脱しグローバル化を加速させることにより、GDPが10年間で2.7兆円増加すると見積もられている。
TPPのデメリット
- 海外の安価な商品が流入することによってデフレを引き起こす可能性がある。
- 関税の撤廃により米国などから安い農作物が流入し、日本の農業に大きなダメージを与える。
- 食品添加物・遺伝子組み換え食品・残留農薬などの規制緩和により、食の安全が脅かされる。
- 医療保険の自由化・混合診療の解禁により、国保制度の圧迫や医療格差が広がりかねない。
TPPの問題点
ISDS条項(ISD条項)
海外起業を保護するために内国民待遇が適用される。
これにより当該企業・投資家が損失・不利益を被った場合、国内法を無視して世界銀行傘下の国際投資紛争解決センターに提訴することが可能。
2013年11月6日、訴訟の乱発を防ぐことを条件に合意に至る。
ラチェット規定
ラチェット規定とは、一度自由化・規制緩和された条件は当該国の不都合・不利益に関わらず取り消すことができないという制度である。
2013年11月23日、日本を含む参加12カ国により合意に至る。
TPP離脱に対する訴訟リスク
TPPのルール上、離脱はいつでも可能とされるが、実際上は海外企業からの莫大な損害賠償請求が予想されTPP離脱は極めて困難と考えられる。
TPP参加国(2017年現在)
以下の加盟国・交渉国に日本を含めた12カ国で交渉を進めている。
TPP加盟国
- シンガポール
- チリ
- ニュージーランド
- ブルネイ
TPP交渉国
- アメリカ(米国)
- オーストラリア(豪州)
- ベトナム
- ペルー
- マレーシア
- カナダ(2012年11月から参加)
- メキシコ(2012年11月から参加)
結果的にTPP不参加となった国
- 中国
- 韓国
- インドネシア
TPP関連サイト(別ウィンドウで開きます)
TPPの24分野
- 主席交渉官協議
- 市場アクセス(工業)
- 市場アクセス(繊維・衣料品)
- 市場アクセス(農業)
- 原産地規制
- 貿易円滑化
- SPS
- TBT
- 貿易救済措置
- 政府調達
- 知的財産権
- 競争政策
- サービス(クロスボーダー)
- サービス(電気通信)
- サービス(一時入国)
- サービス(金融)
- サービス(E-commerce)
- 投資
- 環境
- 労働
- 制度的事項
- 紛争解決
- 協力
- 横断的事項特別部会