放射線(housyasenn)とは
放射線とは放射性物質から放出される人体に影響のあるエネルギーのこと。
放射線には透過力や電離性の有無などにより様々な種類・分類があるが、一般的には人体に与える影響の強い電離放射線、特にアルファ線・ガンマ線・ベータ線のことを指す。また、放射線を発する能力のことを放射能と呼ぶ。
放射線の人体への影響
シーベルトとは、放射線の人体への影響を計る際の単位ですが、200ミリシーベルト以上の被曝量において確定的影響とされる急性障害が起こり、これ以下では確率的影響とされる晩発障害のみのリスクが存在します。
被曝線量の違いによる症状まとめ 放射線・放射能の単位まとめ
急性障害
急性障害とは、短期間に大量の放射線を全身の広い箇所に浴びた場合に起こる放射線障害のことです。主に原発事故の際の現場作業員に起こりえる危険性であり、一般的にこの様な症状が現れることは稀だと考えられています。
リンパ球の減少
骨髄にある造血幹細胞が傷つけられると、白血球の一種であるリンパ球が減少し、骨髄障害を引き起こします。その結果、感染症や出血などの症状をきたし、被曝量によっては死に至ることもあります。
消化管機能の低下
細胞分裂の盛んな小腸などは放射線による影響を受けやすく、肝細胞が死に至ることにより機能が低下します。その結果、下痢・下血・感染等の症状を起こし最悪の場合は死に至ります。
皮膚障害
被曝量により、脱毛や紅斑・水泡が見られるようになり、最悪の場合は皮膚ガンになる可能性もある。
脳への影響
非常に高い線量を浴びた場合、脳などの中枢神経系に支障をきたし、意識障害・ショック症状を見せた後、脳内に水がたまる脳浮腫により死亡する。
晩発障害
晩発障害とは、DNAの突然変異により数年から数十年後に引き起こされる放射線障害のことです。この中には胎児への遺伝的影響も含まれます。
白血病やガンになる確率が上昇
被曝した放射線量に応じて、白血病やガンを発症する確率が上昇する。ただし、被曝線量とガンの重篤度の間には相関が見られない。
胎児への影響
妊娠期間中の被曝により胎児の発育に影響がある事が知られている。具体的には、小頭症などの奇形から身長・体重の減少に見られる発育障害、知的障害によるIQの低下などがある。
放射線の種類・分類
環境放射線
環境放射線とは、我々が日常的に生活している環境中に存在する放射線の総称であり、環境モニタリングとして文部科学省などにより計測されている。
自然放射線
自然放射線とは、宇宙や地球の誕生時から存在する天然の放射線のことである。主に大気中のラドンによる所が大きいが、食品や体内に常に存在するカリウム40や炭素14などの他、大地の花崗岩が発する放射線、宇宙から降り注ぐ宇宙線も含まれる。
人工放射線
一方、人工放射線とは人工的に生み出された放射線のことである。原発事故などにより放出されたセシウムなどの放射性物質に加え、原子力従事者が受ける職業被曝やレントゲン・MRIによる医療被曝も含む。
電離性の有無による分類
原子中の電子をはじくことにより分子をイオン化させることを電離というが、この電離性を持つか持たないかで放射線を分類している。ちなみに紫外線はこの中間に位置すると考えられている。
電離放射線
エネルギーが高く健康への影響が懸念されるため電離放射線障害防止規則により規制されている放射線である。この中には、α線・β線・γ線・X線などの他、中性子線・陽子線・陽電子線・重イオン線が含まれる。
非電離放射線
電子レンジや携帯電話・PHSという形で電化製品などに応用されているマイクロ波や電波が含まれる。